少し前になりますが、今年もニコニコ動画主催の将棋電王戦が3月から5週に渡って開催されました。

第3回 将棋電王戦 HUMAN VS COMPUTER | ニコニコ動画

人間対コンピューターの対戦ということで去年も大いに盛り上がったのですが、今年はさらに盛り上がり、最終局ではリアルタイムで60万人の視聴があったようです。
これはそうとう大きな数字で特に将棋をよく知らない人も観ていたというのは特筆すべき点です。
人間対コンピューターという興味深い対戦もさることながら将棋とは思えない派手な演出や先進的な試み、初心者にも分かりやすい解説や表示がその理由でしょう。
特にトッププロによる丁寧な解説や裏話は全生中継の電王戦ならではで、棋士の素顔が見えるのも将棋ファンにはたまらないものになっています。
そういった「将棋ってこんなに面白かったのか」と思わせるものがこの電王戦には詰まっています。
そんな第3回電王戦の感想を書いていこうと思います。


  • 対戦メンバー

今年は昨年よりも棋士、コンピューターともにパワーアップしました。


第一戦 菅井竜也五段 VS 習甦

第二戦 佐藤紳哉六段 VS やねうら王

第三戦 豊島将之七段 VS YSS

第四戦 森下卓九段 VS ツツカナ

第五戦 屋敷伸之九段 VS Ponanza


といった対戦となりました。

棋士側のメンバーが良いのでパッと見2勝は堅く上手くすれば4勝1敗位はあるように感じました。もちろんコンピューター側も強くなっているので簡単ではないですが、それくらいの感じで棋士側は挑んできたと思います。


結果としてはコンピューター側の4勝1敗でプロ棋士の惨敗といっていいものでした。

昨年のコンピューター側3勝1敗1引き分けよりもさらに差がついたわけですが、ただ内容的には数字ほどの差は無かったように思います。



  • レギュレーションの変更点

昨年の第五戦で三浦八段とGPS将棋が対戦した時はGPS将棋のあまりの強さに「もうプロ棋士は永遠に勝てないのではないか」と思ったものです。

しかし今回は内容的にはそこまでの差は出ませんでした。

その理由としてレギュレーションの変更があげられます。

昨年はコンピューター側は数十台のパソコンを繋いでいましたが今年は1台に制限されました。昨年第5戦目のGPS将棋は東大のパソコン700台近くを貸し切って参戦するなどキリがないからです。

ただ、最強ソフトと言われているPonanzaの開発者である山本氏が「去年の60台より今年の1台のほうが強い」と言うようにパソコンソフトは異常な早さで強くなるのでこれが棋士側にとって単純にアドバンテージとはいえないものでした。


もう一つのレギュレーションの変更点である「ソフトの事前貸出」は棋士側にとって大きなアドバンテージになったと思います。

ただこれも棋士達はソフトの傾向などは分かるものの弱点までは見つけられなかったということでした。


そして大きく負け越してしまったプロ棋士ですが、先に述べたように大きな差は無くまだ希望の見える内容だったと思います。



  • 電王手くん

今年の電王戦の目玉の1つは将棋専用ロボット「電王手くん」の登場でした。

昨年まではコンピューターの指し手を人間が代指ししていましたが、今年はロボットが指すことによりビジュアル的にも人間対コンピューターらしくなりました。




思ったよりもキビキビとした軽快な動きで音もそれほど大きくなく視聴者からも好評でした。
特にお辞儀をしたり安全性が高いなどプロ棋士に配慮された作りが高く評価されていました。
名前が「米長くん」か「三浦くん」だったらもっと良かったんですが(笑)

第一戦目の菅井五段は「人間よりやりやすい」と言っていましたし、第三戦の豊島七段は「電王手くんを愛おしそうに見ていた」とレポートされていました。
電王手くんの存在は大成功だったと思います。



次回から各対戦の感想を書いていきます。