片山被告が一連の事件の関与を認めてこの事件は終結しました。
今後は量刑がどれくらいなのかが気になりますが、もともとは重い罪になるような事件でないので実刑は免れないにしても3年位ということになるでしょう。

この事件が大きな話題になったのは当初逮捕された4名がいずれも冤罪だったことに加えてそのうち2名が自白していたという衝撃的な事実があったからでしょう。

無実の人間に自白させるというこの警察の行為は強要罪に当たるものの密室で行われており、また警察も強要を認めていないので罪に問えないという問題が改めてクローズアップされました。
このことにより警察の取り調べの可視化を求める声が大きくなったことはこの事件の功罪の功の方になるでしょう。
もちろん冤罪で逮捕された方はたまったもんじゃないですが警察の操作手法が問われる事件になったと思います。

一方で片山被告は実行犯でありながら度重なる警察の取り調べや長期拘留に耐えてついには保釈を勝ち取りました。
これは自白がいかに証拠として意味が無いかということ、また人間は確信があればあるほど耐えることが出来るということを示しています。つまり、犯人の方が自白しにくく、ある日突然環境がかわる無実の人ほど耐えられないということです。
これほど不条理な捜査を長年続け、未だに続けて未だなお行われているというのは恐ろしいと同時に早く改めて欲しいと思います。

すこし前に袴田さんが冤罪で釈放され、ブログ記事にも書いた 【書評】清水潔著「殺人犯はそこにいる~隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件~」 : 消されかけたブログ でも無実の人が有罪で17年間抑留されていました。
他にも大きな事件で冤罪ではないかと言われている事件は多々あり、軽犯罪に至っては無数にあるだろうと考えられています。

片山被告に対しても冤罪ではないかという声は多くありました。
警察が捜査で集めた証拠があまりにも薄弱で強引な解釈に依って証拠としていたものが多かったからです。証拠らしい証拠は状況証拠だけであり、それも確実とは言えないものでした。
その状態で起訴されたわけで、もしそれで有罪になるのなら日本の司法というのは魔女裁判のような恐ろしいところだと多くの人が思ったでしょう。
僕自身も片山被告が犯人であれどうであれあの裁判は無罪になるべきだと思っていました。
裁判ではグレーはどんなに濃いグレーでも白とされるべきだからです。
そのまま裁判が続いていればどうなったか興味があるところです。

この事件では無意味な長期拘留も問題になりました。
警察の捜査が終わっているにもかかわらず証拠隠滅の恐れがあるとして一年以上も保釈を認めませんでした。
これは傍から見れば単にいじめであり、人権的な面から見て大きな問題だろうと思います。
結果的には裁判所が保釈を認めたことで片山被告が馬脚を現したというのは皮肉な話です。


僕自身は片山被告が犯人かどうかはよく分かりませんでした。
しかし被告が逮捕されてから全く犯人からのメールが無くなったことでその可能性は大きいだろうなと思っていました。
もともと愉快犯なので他に犯人がいるのなら片山被告が逮捕されたことについて何も言わないのはおかしいからです。

その後片山被告が保釈された後に新たなメールが犯人から送られた時点で片山被告が犯人である可能性が高まりました。
その時点でもまだ僕は片山被告は無罪であるべきと考えていましたが心証は悪いものがありました。
もし片山被告以外が犯人なら最後のメールはもっと早く、被告が勾留中に送るべきであり、裁判で無罪の可能性が高まってから送るのは卑怯な気がしたからです。
また片山被告が犯人ならば他ならぬ自分自身が助かりたいがために送ったことになります。

僕はそれまでこのPC遠隔操作事件というのは警察への挑戦状、警察や検察と戦うという目的で行われたと考えてきました。
もちろんそれが良いことだとは思いませんが、権力を翻弄し嘲笑する個人という構図が判官びいき的に応援したくなる面があったことは確かでしょう。
しかし最後にマスコミなどに送られたメールには文面こそ挑発的であったものの内容としてはそれまでのような新たな挑戦のようなものはありませんでした。

結果からすればそれは事件を早く終わらせたいという意志の現れだったということになります。
気長に裁判に応じていれば無罪の可能性が高かった被告ですが、焦って早い終結を望みさらなるメールを送ったことで真犯人であることが証明されたのです。

よく言われているようにこの事件で犯人は当初から狡猾な面と間抜けな面を交互に出していました。
最後はなぜそんなことをしたのかわからない間抜けさを出した事で犯人であることがバレました。その間抜けさは元来の性格なのか、良心の呵責ゆえなのか、その両方かもしれません。

警察が犯人を割り出した決め手は片山被告がメール送信に使ったスマートフォンでした。
被告が保釈された後もずっと見張っていたことが功を奏したのです。
今回のようなサイバー犯罪での決定的な証拠がこのような泥臭い感じで解決するのはちょっと意外ですが、捜査というのは物証を上げることと考えればこういった手法はインターネット時代でも結局のところ変わらないのかもしれません。
そうした粘りが最終的に事件解決になったことは良かったと思います。

しかし真犯人が分かったからといって自白の強要による冤罪の件まで犯人のせいに出来るわけではありません。
真犯人のメールがなければ当初逮捕された4人は恐らく有罪になっていたでしょう。
事件解決によってそうした警察の問題も無かった事にならないことを願います。